理事長挨拶
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特定非営利活動法人 日本皮膚外科学会
理事長 竹之内 辰也
この度、大原國章先生から本学会の理事長職を引き継ぐこととなりました。絶対的レジェンドの後任である上、ほぼ腫瘍のみを専門としている自分が就任することに少なからず戸惑いはありましたが、30年に渡って育ててもらった学会への最後のご奉公としてお引き受けしました。副理事長には、美容領域、静脈瘤、感染症などにも詳しい山本有紀先生と前川武雄先生に脇を固めて頂けることとなり、大変心強い限りです。
本学会は1986年に「皮膚外科勉強会」として神戸で発足し、その後東京との交互開催となりました。その当時は皮膚外科学の黎明期で手術指導書などの情報が乏しく、皮膚外科勉強会は皮膚外科志向の若手医師にとって貴重な学びの場でした。私も大学病院で皮膚外科を担当し始めましたが、自身が行っている診療に独学の限界を感じて悩んでいた頃でした。面白い勉強会があると聞きつけて初めて参加したのが1994年で、その時の感動は今でも忘れません。演題の内容は目から鱗が落ちるようなものばかりであり、他の学会ではみられない時間無制限の質疑応答もとても新鮮でした。1996年に「日本皮膚外科学会」となってからも、その当時の空気感は受け継がれているのだと思います。
本学会の定款には、「この法人は、皮膚科学に基づいた診断と治療方針が必要で、かつ皮膚外科学的治療を必要とする皮膚腫瘍、母斑、瘢痕などの疾患に対する臨床力の向上を目的とし、会員の発表・討議・知識の交換を行い、さらにこの分野の教育と普及に努め、皮膚外科学の発展を通して国民の健康福祉の増進に寄与することを目的とする」と記されています。この理念を共有する皮膚科医や形成外科医によって本学会は支えられてきましたが、近年では若手の参入が少ないことが大きな課題となっています。これからは、学会を通した学術活動やアジアを中心とした国際交流による知識やスキルの向上とともに、「皮膚外科を学びたい」という若い医師への教育研修にも力を注いで参ります。自分自身が初めて参加した時と同じ感動を覚えてもらえるような、魅力的な日本皮膚外科学会であり続けたい、そうしなければならないという思いを今は強くしています。
ぜひ一度、学会に来てみませんか。他とは一味違ったテイストを感じられるはずです。皆様のご参加を心よりお待ちしております。
2023年11月吉日
日本皮膚外科学会
理事長 竹之内辰也